寝台特急「あさかぜ」号と「さくら」号が今夜の運転を持って運転終了となる。この数年間で、ブルートレインの廃止や運転区間の縮小が著しい。これは、新幹線や飛行機といった高速の交通機関が日常的なものと意識され、速度において高速性の低いブルートレインでは、どうしてもスピードが求められる社会においては、時代遅れにならざるを得ない点もある。それを逆手にとって、東京から北海道へ向かう「北斗星」「カシオペア」、大阪から北海道へ向かう「トワイライトエクスプレス」は、走る高級ホテルの如く、アイディアを加え、旅を楽しむ列車として人気を呼んでいる。東京から九州へ向かうブルートレインが最後までこのような状態から脱皮できなかったのも、このようにしても採算性が取れないことや縄張り意識の強いJRの中で特に4社にまたがる(東日本・東海・西日本・九州)などの問題点があって不可能だったと思われる。

東京と福岡は、現在は新幹線ですら利用割合が10%程度と低く、利用のほとんどが飛行機になっている。東京〜博多は新幹線では「のぞみ」号で5時間かかるのに対して、飛行機では、搭乗時間1時間40分、アクセス時間諸々を入れても3時間30分で東京から到達することが出来る。15時間かかる寝台特急は時間面では、飛行機の5倍、新幹線の3倍かかっていれば、日常性からは遠い時間になってしまい、利用者が限られる。

時代に取り残された感じのあるブルートレインの旅であるが、高速性だけが旅ではなく、ゆっくり走るスローライフ的な旅を好む人もおり、全員が全員新幹線や飛行機を好むわけではない。ブルートレインは、高速交通機関にはない風情がある。効率性や採算性が大事であるのは確かだが、古き良きものは残すような考えも欲しい。

ちなみに自分はブルートレインは、一度だけの乗車で、2002年10月の今は亡き上野〜青森間の「はくつる」号のゴロントシート(毛布布団なし)だけだった。