3月19日、小田急電鉄の特急電車・ロマンスカーの新型車両のVSEがデビューをする。小田急ロマンスカーの新型車両は1996年の30000系EXE以来9年ぶりだ。VSEとはVault Super Expressの略で、Vaultは天井という意味を表す。こんな豪華な車両を見るのは、久しぶりで、ここ数年の鉄道車両の低コスト化や凡庸化が進んでいる中で、ひときわ異彩を放つ。

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小田急のこの新型ロマンスカーは、2編成20両で、制作費の総計は35億円と、鉄道車両の低コスト化が進んでいる現代でも、これだけの費用をかけることは異例だ。
この背景として考えられるのは、小田急の特急列車ロマンスカーは80年代までは、箱根方面の観光特急として活躍してきた。しかし80年代に遠距離通勤化が大きく進展し、沿線の町田市や相模原市などはもとより厚木市や伊勢原市などもベッドタウンとして成長した。その為、80年代の後期や90年代からは特急ロマンスカーも観光特急よりも通勤特急として使用されてきた点がある。30000系ロマンスカーEXEは、観光よりも通勤特急用としての汎用車両として登場し、これまでの連接車両主体の小田急ロマンスカーとはコンセプトを変えたものだった。
これまで小田急ロマンスカーといえば、多くの観光客に夢を与える車両であったので、あまり華やかではない汎用車両の30000系EXEでは魅力に欠けるきらいがあったのではないか。観光特急としての「プライド」を取り戻すためにこの50000系を投入したのではないか。

それ以外にも、こんな事情がある。1987年登場の10000系ロマンスカーHiseは、経年が比較的新しい(といっても20年近く経過している)にも関わらずバリアフリー法に抵触するために、この車両を置き換える必要性が生じた。特急列車・特に観光を売りとする列車は新鮮味が薄れてしまうので、徐々に新車を入れていく点もあるのではないだろうか。
特急列車を20年も経たないうちに廃車にしてしまうのはもったいない点もあるが、これは致し方ない点がある。

箱根は、東京から身近な観光地で温泉をはじめ美術館など多くの名勝がある。観光地として戦後は小田急と西武が開発を進めてきたが、特に小田急は箱根へと線路がつながっていることがあり、小田急のイメージが極めて強い。この特急列車の登場で、箱根への観光がどのように変わるかだ。箱根は小田急も西武も縄張り意識が極めて強く、小田急の箱根フリーパスでも西武関連の施設には入れない。しかし最近、小田急系の箱根登山鉄道バスが西武関係のレジャースポットへ入り、この問題もようやく重い腰を持ち上げた点がある。VSEの登場は、あくまでもハード面の一つに変化が出ただけで、これを機にさまざまな形で箱根の観光面におけるハード面、ソフト面の両方のレベルアップを期待したい。

EXEはExcellent Evpress
HiSEとはHidecker Super Expressの略
小田急の顔となる観光型特急は1991年登場の特急あさぎり(新宿〜本厚木〜沼津)用のロマンスカーとして製造された20000系ロマンスカーRSEを最後に製造されていなかった。この車両は7両編成の中に展望席だけでなくダブルデッカーも2両連結し、思いっきり観光を意識したものだった。

最近の小田急について一言言わせてもらうが、12月の全面改正から4ヶ月が経ちますが、はっきり言って新百合ヶ丘及び多摩線への厚遇ぶりと登戸〜百合ヶ丘間への冷遇ぶりが目に余る。特に大学などが多く点在する(向ヶ丘)遊園〜百合ヶ丘間に関しては、快速急行の恩恵も受けられず、更には有効利用本数が減らされ、この駅の利用者からは大ブーイングが出ているのも事実だ。
私が断じて許せないのは「多摩急行」と呼ばれる唐木田〜千代田線直通の急行電車で、この電車は小田急多摩線の利用客を10%増加させたと言われているが、はっきり言って、冷遇されまくった登戸〜百合ヶ丘間の駅にはいい迷惑だ。多摩線の利用が少なく、電車がガラガラなのに、不便になったこれらの駅には「もはや用はなし」の如く通過するのははっきり言って悔しいし、どうしてこんなに小田急が新百合ヶ丘と多摩線を優遇しまくるのか、その反面不便な駅が出来たのかと怒りをぶつけたくなる。多摩急行なんて朝夕のラッシュ時だけでいいので、日中は準急に降格させ、不便になった駅を救うようなダイヤに戻して欲しい。登戸〜百合ヶ丘間は、区間準急も急行などに抜かれ、あまり利用されていないので、準急でこの区間の不便性を解消して欲しい。