少し前に土地の公示価格が発表された。これは土地の価格を評価する事によって、地域における現状がある程度理解が出来るからだ。
この報道では、東京都内では港区や千代田区、渋谷区など山手線の内側の地域では上昇に転じたものの、依然として郊外では土地の価格が前年よりも下がっている場所もある。しかし、郊外が全てこのような傾向ではなく、一部では上昇した地域もある。
山手線内部の場合は、千代田区や港区、渋谷区は上昇か横ばい(変化なし)であるが、豊島区や台東区、新宿区では下降地点が多い。特に新宿は、伊勢丹や三越をはじめ百貨店や海外ブランド物集積のある新宿3丁目は上昇であったが、歌舞伎町や西新宿は軒並み下降している。新宿だけでなく、銀座や表参道などの海外ブランドショップの集積地では軒並み上昇している。台東区は、上野・浅草地区の落ち込みも激しいが、特に問屋の多い都営浅草線の浅草〜浅草橋間にかけては土地の価格は下降に転じている。台東区の隅田川沿い落ち込みは、近接する中央区の馬喰町や千代田区の岩本町地区にも影響が及んでいる。山手線内に関して極端なことを言えば、中央線・総武線を挟む形で、南北差がくっきりついているようにも見える。特に問屋産業の停滞などは、今後東京が考えなければならない一つの課題であろう。
郊外は、沿線によってばらつきがあることがわかる。例えば、総武線を沿線を見ると、台東区や墨田区、江東区そして葛飾区、江戸川区の住宅地は下降になっている場所がほとんどであるが、江戸川を渡り、市川市に入ると市川や本八幡の周辺の住宅地ではなぜか上昇している場所がある。東へ行っても、ずっと下降気味が続いているにもかかわらずだ。類似例は中央線沿線にも見られる。
市川の場合は、葛飾や江戸川よりも環境的に優れている住居が多く、総武線の市川や本八幡とも近い京成線市川真間駅や菅野駅周辺はちょっとした高級住宅地となっている。住宅地の居住環境の違いなども、今回の土地価格に反映されている。
一つ驚いたのが足立区の8月開通予定のつくばエクスプレスの沿線で、青井駅や六町駅の周辺では、新線効果を見込んでほんのちょっと土地の価格が上昇している。これは期待値であり、沿線のイメージや利便性がよくなれば、上昇に転じるが、不運な場合は下降する可能性もありうる。このつくばエクスプレスの沿線は次の公示価格ではどのような値段がつけられるか?くれぐれも東京湾アクアライン開通前の千葉県木更津のような土地の大幅な下落にはならないことを祈りたい。(この場合は、足立区よりも守谷方面などが懸念される)